直し屋の視点からデニムについてのケア、洗濯方法についてご紹介いたします
お手入れ方法
実は履き方や洗濯方法に正解はありません。それはどんなデニムに育てたいか、または維持したいのか目的によって洗剤も、取るべき手段も違うからです。ただ「洗わない」はハッキリと間違いです。繊維が伸びて隙間が生じ生地が薄くなってしまう、また皮脂汚れをエサに雑菌が繁殖し生地が劣化します。洗うことで繊維が整い強度が増し、雑菌の繁殖を防ぎます。洗濯後の着用頻度にもよりますが、最低でも3ヵ月に1回は洗濯を推奨しています。※生デニムだけは例外で、適切な処置が必要。
洗濯は水洗いだけという方がいますが、適度に洗剤は必要です。皮脂汚れなど非水溶性汚れは水だけでは落ちません。洗剤は中性洗剤、弱アルカリ性洗剤の2種類があります。・中性洗剤→洗浄力は低いが、影響が少ない・弱アルカリ性洗剤→洗浄力は高いが、色落ちしやすい。また液体洗剤より粉洗剤の方が洗浄力が高いです。デリケートに扱いたいものは中性の液体、しっかり洗いたいときは弱アルカリ性の蛍光増白剤が入ってない粉剤と覚えておきましょう。
デニムに最も影響が大きいのが洗濯。ここではあまり色落ちしてほしくない方向けの、洗濯機での洗濯方法の紹介です。①ボタンやファスナーなど全て閉じる②裏返しにしてネットに入れる③中性液体洗剤でドライコース、単品で洗濯デニム生地の織り方「綾織」の性質上、表の青いタテ糸にダメージが蓄積されています。洗濯時は裏返すことで裏のヨコ糸にダメージ負担してもらい、生地の劣化を防ぎます。もっと詳しく知りたい方は職人にお尋ねください。
洗濯を終えたあとは、残る干し方です。干すときは陰干しを推奨しています。紫外線による生地の変色を防ぐためです。ただ干す前に洗濯シワをしっかり伸ばしましょう。これはデニムに限らず全ての洋服に言えます。くしゃくしゃの状態で干すと、しわがくっきり残ったまま乾いてしまいます。基本的にデニム製品にアイロンをかける方は少ないと思いますので、このひと手間でシルエットも見栄えもキレイになります。ちなみにアイロンは殺菌効果あるので、ケア方法の1つでもあります。
たまに履いてあげる、これもケアの一つです。皮脂汚れのタンパク質+湿気が菌を繁殖させる要因なので、たまに履いてあげることで湿気を飛ばせます。履かない場合は陰干しでもOK!長期間こもった空間に置いておくと湿気により菌が繁殖しやすいので、風通しがない空間では乾燥剤を入れておくのもいいと思います。デニムは「洗わない」という風習が一時期に当たり前のようにありましたが、永く履いていきたいのであれば洗濯は大事。どうしても洗いたくない方は、他のケア方法を紹介いたします。
お客様に合わせてお手入れ方法もご提案しますので、お気軽に職人へご相談ください。