今回は、デニムシャツのリペアです。
こちらのシャツは、着用年数が10年となるお客様の依頼品です。
色落ちがかなり進んでいますが、その経年変化具合がとても素晴らしいですね。また、10年の着用を感じさせないほどキレイな状態でした。
丁寧に着用して、洗濯や保存方法などケアしていたのだろうと思います。ですが、体の動きや縫製上の問題など、どうしても破れが発生してしまう箇所があります。
今回のリペアオーダーは「肘破れ」、「ポケット破れ」のリペアです。
まず肘です。
ここはどうしても動く回数が多く、関節部位であるため引っ張りの小さなダメージが積み重なる部位です。
穴の周辺の周囲10cmは、どこでも手で引っ張れば破れるくらい生地が薄くなっています。
ポケットの縁です。
これはフラップの厚みのある生地、また縫製が重複している箇所であり、かなりの負担がかかっている部位です。もしワークシャツで1番最初に破れが起きる場所となれば、まずここだと思います。
ワークシャツに用いられるインディゴ系の生地は、ほとんどがシャンブレか薄手のデニムでしょう。
両方とも丈夫な生地であることは確かですが、強い摩擦とテンションには長期間耐えることはできません。
よく考えられたシャツには、補強布がフラップの裏に張り付けてあります。
こういった配慮がある洋服ブランドは、モノづくりの姿勢が窺えます。
リペア方法は、厚手のの接着芯を破れ箇所の当て布として修復リペアしていきます。合わせて、弱っている生地全体に薄地の接着芯を当て布にして補強リペアしていきます。
今回は、生地が全体的にかなり弱っているの、広範囲の補強リペアが必要になっていきます。
では完成になります。
まずは、肘部分。
今回は修復リペアを希望でした。
丁寧に糸選びを行い、ステッチ幅など慎重に仕上げていきます。
ダメージも補強リペア跡も、ほとんど消すことに成功しました。
フラップ横のダメージは、一度フラップを解体し、生地を補強してから縫製しなおします。
これでまた敗れる心配はありません。
長年愛用している服は、修復リペアと補強リペアでかなりキレイな状態に戻ります。
またしっかり補修しているので、これからガンガン着用して頂けます。