ジーンズの裾上げでよく使われるチェーンステッチ、どういったものか知っていますか?裾の縫い方は主に2種類で、①シングルステッチ(本縫い)、②チェーンステッチ(環縫い)があります。
どんな違いがあるのかなんとなくでも知っていただけると、目的に合わせて選んでいただけると思います。
・チェーンステッチとは
ループが連なった状態が鎖に見えるステッチ方法です。
1000年以上前から使われている技法で、本来は刺繍などに用いられ装飾としての機能面が強く、海外の手工芸品ではよく多用されています。
ジーンズではチェーンステッチが使われ始めたのは19世紀後半、装飾ではなく生産性を高めるために普及していきました。
というのも本縫いミシンでは、下糸をボビンに巻き取って縫製するため、下糸がなくなるとボビンを巻き直すか交換する必要があり、一度にたくさん縫えません。
チェーンステッチ(環縫い)は糸のコーンから下糸も使用していくため、コーンから糸がなくなるまで縫い続けられるので、生産性が非常に高くなります。
現在販売されているコーンは5000mあるので、数十本のジーンズが縫えます。
大量生産が求められたこの時代、装飾ではなく実用性からチェーンステッチは普及していきました。
・シングルステッチの仕上がり
シングルステッチは、表と裏の見え方が同じです。
ほつれにくく丈夫で、アタリ(色の濃淡)が付きにくいことが特徴です。
全体的にキレイ目のパンツ、また裾の折り返し(ヘム幅)が大きいものにオススメです。
・チェーンステッチの仕上がり
チェーンステッチは、表側はシングルステッチと同じ、裏側はチェーンのように鎖状になっています。ステッチが鎖状のため太く見えるので、ロールアップした際にステッチが目立ってアクセントになります。
縫い目に伸縮性があり、アタリが出やすい、シングルに比べ丈夫ではないことが特徴です。
伸縮性があるため、伸びやすいストレッチ生地に向いています。
アタリが出やすいので、ジーンズらしい立体的な仕上がりを希望する人にオススメです。
チェーンステッチが丈夫ではない理由は、構造的に上糸と下糸を絡めているだけなので、下糸(鎖側)が一か所ほつれると連鎖的にほどけるため丈夫とは言えません。
・ステッチ幅で印象が変わる
たかが数ミリですが、ステッチ幅で裾上げの印象は変わります。
何が変わるかというと、シワ(パッカリング)が変わるので、アタリ(色の濃淡)の印象も変わります。
ジーンズ裾上げでよく用いられるステッチ幅は8mm、10mm、12mmの3種類です。
ステッチ幅が細いほど、シワが細かく多数、
ステッチ幅が太いほど、ウネリが大きくがシワ数が少なくなります。
印象が変わるものなので、ご自身のお気に入りを是非見つけてください。
・チェーンステッチにアタリが出やすい理由
ここからは少しマニアックな内容なので、興味がある方はご一読ください。
チェーンステッチアタリが出やすいのは、洗うと糸が引き締まるためです。
ただ注意することは、チェーンステッチはアタリが出やすいだけで、必ず強いアタリが出るわけではありません。一度洗いが入ったデニムはチェーンステッチだけではシワ(パッカリング)が出づらいです。
「チェーンステッチで裾上げしてもらったけど、シワ感がない。」と経験された方もいると思います。
パッカリングの発生にはチェーンステッチ、また他の要因も関係があります。
デニム業界でよく耳にするUNION SPECIALユニオンスペシャルの43200Gは強烈なシワ(パッカリング)が出来ることで有名です。
それは生地に対して、針が垂直ではなく斜めに入ること、送り歯の力が強いため自然とねじれる構造のためです。
他にも糸の素材、糸調子など他の要因も組み合わさりシワ(パッカリング)が発生し、アタリ(色の濃淡)が強く出ます。
逆に言えば、同じ現象を再現できれば、ユニオンスペシャルでなくても強烈なアタリを再現できます。
当店は裾上げBROTHERですが、特殊な縫製方法によりパッカリングを強く出し、アタリ加工を可能としています。
当店の裾上げに興味を持たれた方は、是非一度ご利用ください。
裾上げはシングル、チェーンステッチ共に@1.000になります。